万博日記 6月12日(木) 17:50-20:30
万博というのは「世界のショーケース」のようなものだと思います。そして、そのショーケースをどう飾り立て、どういう文言を加えるかはその国次第です。
大したことないものを綺麗に見せたり、実態はごく一部分での取り組みを大きく取り上げ環境に配慮している、SDGsだといったりなど、嘘とは言わないまでも何を見せたいかという意志で如何様にもできるものでもあるのです。
さて、いきなりなんでこんなことを書いているのかというと、派手なことなどで話題になっているトルクメニスタン館に行ってきたからです。
中央アジアのトルクメニスタンは独裁国家の一つとされていて、そういった国が単独のパビリオンを出しているというのはある意味注目すべきことです。
そんな体制を知ってか知らずか、かなり多くの人がパビリオンの前に並んでいます。15分ほどで入場。入るとWELCOME TO TURKMENISTANの字の上にデデンと大統領の肖像写真が掲げられています。
宮殿風の待機画面から始まる映像はこの国の栄光を謳うもの。祖先のこと、シルクロードの中心であったこと、昔の詩人の引用、「アハルケテ」と呼ばれる馬や「アラバイ」と呼ばれる犬のこと、白で統一された(させた)首都のこと、豊富な資源、日本との友好のこと、等々。
映像が終わると2階に案内され、伝統的なものから近代的なものまで、この国の産品などを紹介しています。教育の展示なのか教科書が並べてあり自由に読めるのですが、例外なく表紙を開くと大統領の肖像写真が載っております。
3階はカフェなのですが閉店時間を過ぎており残念。
全体を見ると肖像写真以外は意外と普通なのですが、それこそが思惑なのでしょう。というか、国内に問題があってもきちんとしたふうに飾り立てるのは別に独裁国家に限った話ではないのです。そのことは常に考えながら各国の展示を見なきゃなぁと改めて思いました。
さて、トルクメニスタンの濃い展示を見た後はオーストリア館へ。「第九」の一節の五線譜が渦巻くように持ち上がる装飾が目を惹くパビリオンです。
パビリオンの外観通り音楽のイメージがあるオーストリアですが、NATMこと「新オーストリアトンネル工法」という山岳トンネルの工法、鉄道保線機械メーカーとして有名なPlasser&Theurer社があったりと、鉄道技術があるというのはあまり知られていません。
テーマは「Composing the Future」。最初のホールではオーストリア製のピアノにヤマハの自動演奏装置が取り付けられた自動ピアノと映像で自国のプロフィール紹介、最後の展示はAIを取り入れたインタラクティブな作曲ができるというホール。意外にあっさりな感じです。パビリオン手前の装飾と、2階にレストランが入っているので展示には面積を割けなかったのかな…。でもオシャレな感じでいいですね。
そんなこんなで時間が終わりに近づいたので帰りました。