友人の急逝に際して。
私の友人、ゆーしくんが亡くなった。
急性大動脈解離で、年齢は36。まだまだやりたいことはいっぱいあっただろうに……。
今回は、彼のことを少し綴ろうと思う。
彼のことを知ったのは、2007年から2009年の間に数回福岡市天神で開催された同人誌即売会「tenjin.be」あたりだろうと記憶している。
その頃彼は既に音響担当をしていたけど、わたしは単なる一参加者で、「いつもいらっしゃるスタッフの方」くらいの認識だった。
その関係性が変わっていくのは、2010年からスタートした東方Project同人作品展示即売会「東方久遠境」に、2011年から私がデザイン担当として参加して以降のことだ。
どんな会場でも、その設備に合わせて適切な音響機材を準備してバッチリな音をセッティングする彼は本当に凄かった。
並の同人イベントでは音量や残響に難があって聞き辛いことがままあるのに、彼の手にかかれば会場のどの地点でも「普通に聴こえる」。それだけでも凄いのに、開催中もスピーカーの向きを微調整したりして最高の状態を目指していた。「それなり、そこそこ」で妥協しない姿勢はプロ顔負けだったのだ。
それでいて彼はいつも低姿勢でいた。
わたしとデザインの話題で話していても「俺馬鹿だからゴメンね」と言っていた。…そんなことない、と言いたい。
だって私は今だって音響のことはこれっぽっちもわからないよ。私はデザイン、彼は音響とそれぞれの得意分野が違うだけ。そんなに自分を卑下しなくても、と言いたかった。
あまりにも突然で、忘れ物をいくつもしながらたどり着いた通夜会場は、ホールのキャパシティの2倍以上の人で溢れ返っていた。
あんなに人の多い通夜に行った事なんてない。あれだけの人に愛されるのが彼の凄さだったのだ。
焼香までホール内にも入れず、きっと彼は「これじゃあ来た人に音が聞こえないよ、スピーカーを外にも準備しなきゃ」とどこかでいってるだろうな、と思った。
もっと彼と話をして、もっと音響のことを知りたかった。
そう思ってももう無理なのだ。
きっとこれから彼の凄さを、同人イベント会場などでいっそう思い知ると思う。
だからこそ、彼のぶんまでしっかり生きていきたいと思う。
いろいろなことを学んで、彼に少しでも近づけたら、と思う。